横浜「ホテル戦争」? 横浜のホテル事情

2007年は東京都心部に多くの外資系ラグジュアリーホテルが進出し、「ホテル戦争」と呼ばれましたが、東京がひと段落したのも束の間、その舞台が横浜に移され展開することになりそうです。今回は、その横浜のホテル事情をまとめます。
横浜・ホテル競争の激化の背景には、以下の高級ホテルの進出が報じられたことが挙げられます。

パークハイアット横浜(北仲通北地区)
W Yokohama(みなとみらい21新港地区4街区, 赤れんがパーク向かい)
ホテルニューオータニ(みなとみらい21地区28街区, JR桜木町駅前)

パークハイアット横浜は、六本木ヒルズのグランドハイアット東京などを展開するホテルチェーン「ハイアットホテルズ アンド リゾーツ」、W Yokohamaはウェスティンホテルやシェラトンなどのブランド展開をする「スターウッド・ホテル&リゾート」が展開。加えて日本国内のホテルとしては、ホテル御三家のひとつ、ホテルニューオータニが横浜に進出します。
横浜、特にみなとみらい21地区にはヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、横浜ロイヤルパークホテル、パンパシフィック横浜ベイホテル東急という高級アーバンリゾートホテルが既に立地しているため、これらのホテルとの競合が予想されますが、一昨年の市長定例記者会見(平成18年2月22日)では次のように語られています。

記者: (みなとみらい21地区には)既に「高級と言われるホテル」が3つありますが、それらとの競合などの点は、審査の過程で議論にはなったのでしょうか。
市長: みなとみらい21地区には、これから先、さらに人が集まることが想定されています。(以前、事業予定者として決定し、その後)立ち消えになってしまいましたが、(この地区の)別の場所でホテルの提案があったりしました。そうした意味では、ホテルについては以前から(民間事業者の)進出意欲があります。つまり、進出する側からすると、商売として成り立つエリアなのでしょうから、それは民間事業者の皆さんにお考えいただくことです。我々としては、まさに業務核都市になってくる、あるいは、エンタテイメントで人が集まるという意味では、全体として、そうしたホテルも含めた構成については歓迎するところです。

ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル

冒頭で触れた東京のホテル戦争の背景には、東京都心部の不動産市場の活況という供給側の事情と、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」等による来日者数の増加などによる需要側の事情の両者の合致があったと考えられています。しかし現在、このように展開してきた高級ホテルの稼働率が落ちているという報道もなされ、先行きは不透明と言わざるをえません。

とはいえ、これらの高級ホテルが横浜に展開すれば、横浜の地図が新たに書き換えられるのは間違いありません。あらためて、地図上にプロットしてみます。(なるべく網羅的に扱っていますが、横浜駅~山下公園の首都高周辺と、それより海側の地区についてまとめました)



黄色い印が今後展開される高級ホテル(シティホテル/アーバンリゾートホテル)、青色が、宴会場などを併設するシティホテル/アーバンリゾートホテル、赤色が、宿泊に特化したビジネスホテルです。
このように見ると、みなとみらい21地区へのシティホテル/アーバンリゾートホテルの展開と、関内地区へのビジネスホテルの集積が見て取れます。山下公園のエリアもシティホテル/アーバンリゾートホテルが見られます。つまり、みなとみらい21や山下公園のエリアのホテルではブライダルや宴会などの需要があることが想像されますが、新しいホテルの進出は、みなとみらい21地区におけるこうした傾向を推進するものと考えられるでしょう。また、パークハイアット横浜が北仲通へ――という流れは、ランドマークタワー・クイーンズスクエアと赤レンガ倉庫をそれぞれ基点とした商業・ホテルなどのエリアの拡大(あるいは移動)とも考えられるかもしれません。
ホテルの分布だけで判断するのは早計でしょうが、冒頭で挙げた3つのホテルの進出により、みなとみらい21と関内地区という隣接する二つのエリアの個性の分化がさらに明確になるようにも思えます。

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・関連記事:【写真レポート】横浜・三つのホテル計画
今回取り上げた3つのホテルの2008年6月における状況の写真レポートです。


[ posted by ida-10 ]