現在横浜市で行われている創造都市政策関連のアート事業は,お客さんとして展示されている作品を見て終わりというよりも,それらが,フィールドとしている都市・地域と関わりを持ちながら,一つの活動として展開していくプロセスに注目していくと,より興味を惹かれる多様な側面が見えてくるように思えます.そういう意味では,個々の企画(お客さんの目に触れる場面とその企画プロセスを含む),個々の時間と場所(と人々)を繋いでいく次元,つまりメディア上での表現や情報発信が大きな役割を担えるのではないでしょうか.今回の記事では,そのようなアート関連の活動のメディア,特に,比較的静的なメインのオフィシャルサイトではなくて,現場のスタッフによって更新されていると思われるblogをいくつか紹介します.
黄金町バザール スタッフブログ
一つ目は「黄金町バザール」のスタッフブログです.こちらの熱心な更新を見ていて,この記事を書こうと思ったブログです.サイト紹介は次のようになっています.2008年秋、黄金町がバザールになります!本番に向かって猛ダッシュする黄金町の毎日を、バザールスタッフがお届けします。
秋の開催に向けてどのような動きが日々あるのかのレポートと,写真付きで周囲の街の様子などを記述した日記が並列的にアップされています.近隣の他の活動の現場に足を伸ばしている日常が分かるのもいいですね.色々な活動が物理的にも人的にも,こういう風に近接しているのは,これらの活動が持っているポテンシャルだと思うし,活動のフィールドである地域にどういう可能性があるのか,というかそれ以前の話として,そこがどのような街なのか知らせることは重要なんでしょう.そういうものは,一人の人の私的な視点を通してでも見えてくると思います.
ちょっとだけ気になったのは,せっかく写真を色々使われているのだから,もうちょっと大きなサイズで配置されればいいのに,ということ(クリックすれば大きなものも見られますが).でも,これは使用されてるblogのシステムの制約かもしれません.
BankART1929 BLOG
割と最近に開設された,バンカートのblogです.blog紹介は以下のようになっています.BankART1929のブログです。このブログではBankART1929で開催される展覧会やその他の活動のリポートを発信していきます。
まさに多様な側面を持つ活動体であるバンカートが,関連する様々なイベントの告知に中心的に用いてきたメディアは,長い間,登録制のML(メーリングリスト)だったと思うのですが,そこにblogが加わました.さっそく購読しはじめたのですが,「ぴおシティ延長」という記事(6/7)なんかは,blogだからこその現場の動きの感じられる速報レポートになっていました.これは,5月に行われた「Landmark Project 3 国道16号線を越えろ! ←野毛にいこう」という企画で,テンポラリーな会場の1つとなった,桜木町駅前のぴおシティの空き店舗のスペースが,継続使用されることになったという話しです.そして,その何個かあとの「横濱モボモガを探せ!again」という記事(6/17)では,早速そのスペースでの展示が始まったとレポートされています.他にも,バンカートの企画以外の重要な活動の1つだという,バンカート・スクールの個々の講座のレポートもあります.
トリエンナーレ,ザキ座,アートチャンネル
黄金町バザールと同時期,今秋開催される横浜トリエンナーレ.先に取り上げた二つの活動ほど,地域との距離が近かったり,そこで活動している人の顔が見えてくるようなイベントではないですが,こちらにも関連のblogもあります=→ 横浜トリエンナーレ2008ブログ.
アート系ではありませんが,6月に行われるイベントの紹介記事(こちら)で,少し紹介した「ザキ座」にもスタッフブログがあります=→ “ザキ座”な日々.まちづくり系の活動なだけあって,地域にあるお店を1つずつレポートしていく記事には力が入っています.
最後に,これはblogではないですが,横浜のアート関連の気になる(+あまり知られてなさそうな)メディアということで,→ ヨコハマ・アートチャンネルを紹介.「芸術文化に関する公演やイベントなどの記録、アーティストの素顔、芸術文化施設の紹介など、様々な側面から横浜のアートシーンを動画で紹介していきます」とのこと.アートログというコーナーでは,バンカートや黄金町バザール関連のイベントも動画で紹介されていますね.
※他にも色々とあるとおもいますが,以上5件紹介してみました.こういうサイトもあるよ,とかありましたら教えてください(連絡先はこちら).どういう位置づけなり感覚で,どういう人達によって更新されているか,それぞれの更新者の方などに聞いてもみたいですね.自分たちの活動との関連付ければ,こういう風にそれぞれの活動の現場にいる人が情報発信しているなかで,それとはまた別の次元でのメディアには,どういう形の活動・内容があるのか・・・?って話しにもなってくるかもしれません.
※注:記事冒頭で横浜市との関連から語り始めましたが,今回紹介しているそれぞれの活動は,市が直接何かをやっているわけではもちろんなく,ある程度の,あるいは,かなりの独立性を持つものだと思います(経済的な側面や活動の方向性への影響力などもっと丁寧に見ていく必要はありますが).ここら辺の事は,現在の横浜の動きを捉え,このサイトをやっていく中でも結構問題になるところでして,つい便利なくくりとして,創造都市の,とか,横浜市の,とかいうような言葉を使ってしまいますが,その政策をそのまま支持しているわけではないですし,そういう言葉をそのまま飲み込んでしまうのなら,メディアなんてやる必要もないと思ってはいます.という風に,興味の関心は現場での動きにあるのですが,横浜市が何もしていないというわけでは当然なく,それはそれでその実体やをちゃんと記述し評価していくべきなのでしょう.
[
posted by
jun
]