コトラボ合同会社 代表 岡部友彦さん
前編 後編
横浜から考える
――「コトラボ」の活動は横浜だけで行っていくのですか。
岡部:活動を地方とどのように繋げていくかということを考えています。東京や横浜が日本全体のことを考えなければ、日本全体がだめになる。そのツケが地方にもまわっているように思います。税金を吸い上げて、そこの人たちに還元していかなければならないということは自治体の宿命だとは思いますが、東京が東京だけを、横浜が横浜だけを考えるのは時代遅れだと思います。地方とどのように繋がっていくか、どのように人の流れを作るか…そういうことをやっていきたいですね。例えば、栃木の栃木市って蔵の街なんですけど、そこでホステルをやろうという話があります。コトラボで協力して、コンサルのような形でコミットしていければと思います。私たちの活動は寿町で「さなぎ達」とつながっていったことで結果的にできたわけですが、そうしたコラボレーションを各地で行っていきたいですね。
――横浜の活動についてお伺いしたいと思います。例えば横浜では黄金町のプロジェクトがありますが、それと寿町は似ているようで違うと思っています。黄金町が人を追い出してその後どうするのかということに対し、寿町はそうではない。黄金町の動きやそのほかの横浜の活動をどう見ていますか。
岡部:黄金町では集まっていたものを散らしたわけですね。それによって、逆に見えにくくなったのではないでしょうか。どこかで売春しているかもしれないし、根本的な解決にはなっていないように思います。建物をどう変えるかっていうことしか見ていないのではないか、それこそ「モノ」の部分でしか見ていないのではないかと思います。でも既にやってしまったことですから、人をどう巻き込んでいくかとか、もっと考える必要はあると考えます。 また、横浜の推進する「クリエイティブシティ」については、アーティストをすごく擁護しているように思っています。ZAIMや北仲にアーティストを呼んでも、そこから活動が街に落ちているかというと、今はそれほど見えてないのではないか。アーティストが街に出るような仕組みを作っていかないといけないと思います。クリエイティブシティというのはクリエイティブな人を集めるんじゃなくて、いかにいろんな人たちをクリエイティブなことをするように仕向けるとか、そういう場を提供できるかということだと思うんですよ。 私は「まち普請」という活動を委員として支援しているんですが、ここでも応募する人には定年した人が多くて、若い人が少ないんですよ。若い人たちが提案するように仕向けなかったら、状況はいつまで経っても変わらないんじゃないでしょうか。
――最後に、岡部さんが注目しているモノやコトを教えてください。
岡部:横浜で気になっている場所として、町田の近くの「いちょう団地」がありますね。この団地は、とても大きな団地なんですが、居住者が減少した後から、ベトナム、ラオス、カンボジア、中国など、24カ国の人々が住むようになったそうなんです。多様な文化が一緒に暮らすということにも興味がありますが、それ以外にも、そのコミュニティがどのような形で発展していくのかにも、とても興味があります。実は、海外の移民街の研究も行っていたのですが、そこでのコミュニティの形成や発展と、地域コミュニティの形とは、根底が共通していると思っています。移民街では、はじめ、内部に向けて、自国の料理をだす店舗が作られるのですが、時が経つにつれ、旅行者など、外部に向けたレストランへと発展させ、ビジネスとして展開していく。この流れが、街に新たな魅力と新たな顔を創り出すことにも繋がっていきます。そのような潜在性もいちょう団地にはあるのではないかと思っています。とはいっても、そんなに地域のことを理解していないので、これからもっと街を知りたいですね。
また、社会起業家と呼ばれる人たちには注目しています。コモングラウンドとかアショカとか、アーキテクチャー・フォー・ヒューマニティーとか…世界中で様々な活動をしている人たちです。ボランティアじゃなくて、自分たちが食べていけるような、継続していけるような仕組みを作りながら、いろんな手法で問題を解決していく。それはすごく面白いですね。
前編 後編
岡部友彦 ロングインタビュー
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